【アニメ】「WHITE ALBUM」レビュー

概要

Webページ:
White Album
※要・Adobe Flash Player、インターネットアーカイブ

 

1998年に発売された、R-18美少女ゲームが原作。

アニメは原作ゲームよりもさらに前の年代、1986年を舞台にしている。

当時、人気絶頂だった水樹奈々さんと平野綾さんのダブル主演で話題になった。

 
 

人に勧められるか?

★★★☆☆ (5点中3点)

主人公にイライラするアニメ。人間模様はおもしろいが…。

 

序盤から終盤まで、優柔不断でお人好しで流されやすい、女心に鈍すぎるすぎる主人公にイライラする。

それはさておき、人間模様がおもしろい。

…が、エンディングが腑に落ちなくて、すべてを台無しにしてる感。

主軸がなんだったのか?が、制作側と視聴者側でズレがあるような気がする。

内容が内容であること、エンディングの件でどうにも勧めにくい。

 
 

ストーリー

主人公・藤井冬弥と、新人アイドル・森川由綺とベテランアイドル・緒方理奈、さらにその3人を取り巻く周囲の人々の人間模様が描かれる。

そのドラマ自体はかなりおもしろい。

がしかし、それでもオススメできない3つの理由がある。

 

ひとつはエンディングである。

その中でのストーリーの主軸は、藤井冬弥と森川由綺の恋愛…だと思ってた、途中までは。

エンディングまで見たら、それが間違いだと分かった。

なぜなら、肝心のその恋の結末を描いていないからだ。

 

描き方としては「そこは視聴者の想像に任せる」といった具合だが、このストーリーでそれはないだろう、というのが個人的な感想である。

なぜなら、ストーリーの始まりは、藤井冬弥と森川由綺だからである。

寄り道やあさっての方向にストーリーが進むこともあるが、いつもそれが念頭にあったはずだ。

だというのに、エンディングでそのことを描かないのはストーリー描写を放棄してる…と言わざるを得ない。

 

2つめは、主人公のキャラクター性である。

見ている側としては、藤井冬弥はお人好しだが…優柔不断、女心が分かってない、その場の空気で流されやすい、卑怯と、いいところがほとんどない。

それでも女性に人気があるのは、天然ジゴロの気があるからだと思われる。

 

3つめは、ストーリーそれ自体である。

先の読めない展開、とても人間らしい人間模様、すれ違いが見ていてとてもおもしろい。

…けども、この手のストーリーはかなり好き嫌いが分かれやすい。

 

結果として、とても勧めにくい作品になってる。

なにより、1つめの理由が大きい。

2、3つめの理由は人それぞれの好みの問題なので、勧めやすいかどうかは状況によると考えたとしても。

 
 

演出

一方で、演出はとても神がかってると言っていい。

これは2つのポイントがある。

1つめが、携帯電話がない1986年を舞台にし、公衆電話と固定電話、もしくは人づてでしかコミュニケーションが取れないもどかしさと、すれ違い。

それがとてもうまく表現できている。

 

2つめが、主人公の心理描写を、セリフにしない文字で書いていること。

これは新しい。

実際に藤井冬弥が言っている言葉、やっている行動とは裏腹な感情が、ちゃんと表現されているのは、とてもいいと思う。

 
 

音楽

OPとEDの曲自体も素晴らしいのだが、その演出が素晴らしい。

時代がかった絵画的な絵と、特徴的なレタリング。

本編の時代背景ととてもマッチしている。

さすが、2009年にこの内容でアニメ化をしようと考えるだけのことはある。

細部へのこだわりが半端ない。 

 

ちなみに、時々する劇中歌もいい曲が揃ってる。

本当、どれも素材はいいんだけどね。

 
 

個人的に刺さったシーン

大きく2つある。

1つが、序盤の藤井冬弥と森川由綺の、待ち合わせでのすれ違いである。

自分は完全に携帯電話世代なので、携帯電話がなかった時代の待ち合わせなど想像できない。

でも、こういうこともあるんだろうな…というのが簡単に想像できる。

それがうまいこと表現できている、とてもいいシーンだった。

 

もう1つが、緒方英二が1枚の絵に執着し、何枚も絵を集めてしまうのだが…というシーン。

それまで、緒方英二というキャラはとても完璧な大人というふうに描かれていたので、そのイメージが崩れるシーンでもある。

その描き方がとても印象的で、最後まで見ても記憶に残っている。

 
 

まとめ

序盤から終盤まで、先が読めない人間模様。

素晴らしい演出。

エンディングに向けてとってもおもしろく進んでいたのに、エンディングですべてを崩された感じ。

いいアニメになっただろうに、もったいない。

 
 

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