【OVA】「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」レビュー

概要

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『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』公式サイト

 

ガンダムシリーズの一作品。

宇宙世紀、一年戦争の末期のいちコロニーで起こった戦いを描く。

ガンダム作品にしては、主人公が小さな男の子であること、肝心のガンダムの活躍シーンがかなり少ないのが異質。

 
 

人に勧められるか?

★★★★★ (5点中5点)

男の子の成長物語。男の子が「戦争とはなにか?」を知る、名作。

 

戦争は遠い世界の話、軍隊やロボットにあこがれがあった小さな男の子が、戦争とはなにか?どんなことが起こるのか?を知る、成長物語。

たった6話のOVAで、それをきっちり表現しきっているのはもう見事としか言いようがない。

ガンダムやロボット、SFものが苦手だったとしてもぜひ見て欲しいアニメ。

個人的には後世に残していきたいと思うほど。

 
 

ストーリー

一年戦争の末期、中立のコロニーに住むアルフレッド・イズルハ(アル)の元に、ジオン所属のバーニィがやってくるところから物語が始まる。

まず言っておきたいのだが…自分はこの0080がガンダム作品の中で最高傑作だと思ってる。

もちろん、全部を見たわけではないので、あくまで現時点では、という前置きがつく。

だが、この作品を超えるガンダム作品がそうそう出てくるとは思えない。

ガンダムという枠だけでなく、アニメとして考えても最高傑作。

アニメーションとしてかなり強力なテーマ性が描かれているからだ。

 

それは、「戦争とはいつ身近に起きてもおかしくはない」こと。

そして「戦争とは、身近な親しい人をも巻き込んで、いろんなものを奪っていく」ことである。

それを、アルという少年を通して見る側に教えてくれる。

 

アルは、物語が始まった時点では、戦争とは遠いところで起こっていること、そして軍隊やロボット(モビルスーツ)に憧れる、普通の少年だった。

それがジオン兵のバーニィやクリス、様々な経験を通して戦争を経験することで、大きく成長していくのだ。

結末時に、アルと友達とが対比になっているのがとても印象に残る。

アルも、物語が始まった時点では、友達と同じところにいたはずだったのに。

その結末は見る側に強く印象を与えてくれる。

ぜひ、その結末を見てほしいと思う。

 
 

演出

目立った演出はないが、特に印象に残るのが、第6話のバーニィのビデオメッセージである。

これを本当のラストに持ってくるのが、またニクい演出だと思う。

もうひとつが、バーニィのコロニー脱出前のシーンである。

バーニィの直ぐ側で女性が電話するのだが、バーニィと少し被るのである。

これもまた、うまい演出だなぁと感じる。

 
 

音楽

OPもEDも良曲揃い。

個人的には曲としてはOPが好きだが、映像はEDが印象に残る。

特に、EDラストは物語後のアルの様子が写真として出てくる。

第一話から変わらないEDなのだが…第一話の時点では、アルがあんな経験をしていくとはまったく想像できない。

あの写真に写るアルは、どんなことを思っているのだろうか…?

 
 

個人的に刺さったシーン

もう書いてしまった感あるが、ひとつはバーニィがコロニーを脱出する前のシーンである。

公衆電話で電話する女性の通話内容を聞いて、バーニィが何を想っているのか?

なにかメッセージ性があるわけでもないのに、どこか印象に残るシーンなのだ。

 

もうひとつが、結末で学校の校庭で校長の演説を聞くアルのシーン。

物語開始時のアルとは大きく変わってしまったことが、よくよく伝わってくるシーンだ。

ガンダムシリーズの中でも屈指の名シーンだと思う。

 
 

まとめ

というわけで、たった6話のOVAで、しかもガンダムにしては極めてスケールの小さいストーリーである。

にもかかわらず、見る側に強烈なメッセージを与えてくれる、屈指の名作だと思う。

ガンダムシリーズには名作、名シーン、迷作、迷シーンのものがいっぱいあるが、ここまで名シーンが際立つ作品はそうそうない。

ガンダムやロボットもの、SFが苦手だったとしても、ぜひぜひ見て欲しいアニメだと思う。

自分が本当にオススメしたいアニメのひとつ。

 
 

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