【アニメ】「ラブライブ!」レビュー

概要

Webページ:
ラブライブ!Official Web Site
※1期、2期、劇場版共通

 

複数企業が参加するメディアミックスプロジェクト、そのアニメ作品。

社会現象と言っていいほどの人気があり、劇中アイドル・μ’sは紅白出場まで果たした。

なお、本作ではアニメ1作目の1期のみを対象とする。

 
 

人に勧められるか?

★★★★☆ (5点中4点)

確かに基本のストーリーはおもしろい、だけどストーリーも演出もツッコミどころ満載。

 

細かなツッコミどころや矛盾はかなり多いが、ストーリーの骨組みはちゃんとしているため、良作になっている。

それ以上に目立っているのが演出面で、効果的で上手な仕上がりになってて、飽きさせない。

もちろん、劇中アイドル・μ’sの歌もアイドルらしいポップなものが多く、耳に残りやすい。

アイドルアニメとしては十分な出来だと思う。

 
 

ストーリー

本作では、主人公・高坂穂乃果たちが通う音の木坂学院が廃校するかもしれない…というところから始まり、μ’s結成と挫折、そして再起するところまでが描かれる。

発起、挫折と対立、再起…と、物語としての骨組みはしっかりと用意されているため、分かりやすいしドラマ性があっておもしろい。

結成のための人数集めのほうを重きに置いているのか、全体の半分以上が結成関連の話だが。

バランスが悪いのは確かだが、演出が優秀なこともあって飽きはない。

 

ただ、よくよく見てみると残念ながらツッコミどころと矛盾がかなり多い。

例えば、西木野真姫が3人のμ’sのために作曲を持ちかけられる話がある。

まず、真姫と穂乃果が初めて会ったシーンからして違和感がある。

ピアノで真姫が「愛してるばんざーい」を歌っているのだが、これはμ’sの4番目のシングルである。

でもこれは普通に考えればおかしい。

真姫はそのあとで「(アイドルみたいな)ああいう曲は一切聴かない。聴くのはクラシックとかジャズ」と言っているのだ。

聴いていないのに、なぜあのような歌を歌っているのか?

あるいは、真姫のオリジナル曲ということになるが、聴いたことないジャンルの歌と曲を作るのは至難の技である。

当然ながら、そのあとの「START:DASH!」を作曲するのも至難の技という事になるが、真姫は一晩で作曲してくる。

であれば真姫にはアイドル曲を作る天賦の才能があった事になるが、そんなことは一切触れられない。

 

このようなキャラ性のブレや矛盾、ご都合主義というべきか、これがかなり多い。

そのシーンごとにキャラをどう動かすか?どう見せるか?に重きを置き過ぎてる証拠である。 

何も考えずに見れば気にならないところかもしれないが、完成度の高さという基準で見ると、どうしても穴が多い印象を受ける。

 
 

演出

さて、そんなストーリーの完成度の低さをカバーしている(嫌な言い方をすればごまかせている)のは、演出のクオリティの高さである。

画面の切り替え、イメージ映像の使い方、キャラの登場のさせ方、etc…と多岐にわたる。

なんらか元ネタがあるのかもしれないが、これだけ上手くまとめられれば評価できるものだ。

 

なお、演出面でも矛盾やツッコミどころは多い。

例えば、9人でアキバにいき、変装するシーンがある。

9人分の同色、同デザインのコートをあのためにわざわざ揃えた事になるが、普通に考えれば違和感のあるシーンである。

また、そのあとでゲーマーズ前からアイドルショップへシーンが切り替わるが、あれもまたおかしい。

現実のアキバの位置関係を考えれば、ゲーマーズ前からあの付近まで500mは余裕で離れているため、あの場所にいて花陽の声が聞こえるわけがないし、一瞬で移動できるわけもない。

 

おそらく見せ方重視で、現実的な実現可能性は無視しているのだろう。

アニメらしいといえばアニメらしいので、この割り切りはアリだと思う。

かといってストーリーにまでそれを持ち込むのはいただけないと、そういう話である。

 
 

音楽

アイドルがテーマなので、μ’sのライブシーンは力が入っているのが伝わってくる。

ライブシーンは作画ではなく、CGで作っているらしい。

最近のアニメでよく取り入れられる手法である。

あと、個人的には13話という話数のわりに曲数が多いのが評価ポイント。

加えて、劇伴が優秀である。

雰囲気にあっていることはもちろん、印象的なものが多いので、単体で聴いてもいい曲が多い。

 
 

個人的に刺さったシーン

ひとつは、最終話の講堂で、穂乃果と海未が会話するシーン。

一度はアイドルを諦め、挫折した穂乃果だが海未に心中を話すのだが、それがとても印象的なのだ。

なお、話す場所が初めてライブをやった講堂(穂乃果がファーストライブで「もっと歌いたいって思った」と言った場所)というのが、粋な計らいである。

もうひとつが、合宿に行くシーンである。

数少ない日常を描く話であるため、各キャラの個性がかなり描かれている。

日常系アニメではないため、これくらいのバランスでいいとも感じた。

 
 

まとめ

ストーリーも演出も全体的に、とにかく「考えるな、感じろ」が多いアニメ。

感じた結果、受け入れられない場合はとことん受け付けないアニメでもあると思う。

理屈で考え始めたらダメなのかもしれない。

まぁこれはこれで、アニメらしいっちゃらしいから、アリかな?

 
 

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