概要
Webページ:
アニメ「ラーメン大好き小泉さん」公式サイト
鳴見なる氏のマンガが原作のアニメ。
ラーメン+女子高生という、最近よくあるパターンのヤツ。
ドラマ化もしてるらしい…確かに、これはアニメでやるより、ドラマの方がいいような気がする。
人に勧められるか?
★★☆☆☆ (5点中2点)
「ラーメン大好き小泉さん」っていうより、「ラーメンだったらなんでもいい小泉」さんになってる。
わりと勧めやすいとは思うのだが、肝心の作品自体が正直さほど魅力的じゃない。
女子高生がラーメンに夢中になってる様子を描きたい、しかも実在の店舗で…という、やりたいことが明確なのが勧めやすいところ。
一方で、キャラクターの深堀りや描写が場当たり的で、明らかに不足してる。
実在の店舗の描写ってことであれば、別にマンガやアニメである必要性はない。
2つの要素の掛け算がもっと上手にできてればいいのだが、表面上でしか掛け算できてないのがダメ。
ストーリー
小泉さんと、同じクラスの女子高生が古今東西あっちこっちのラーメンを食べに行き、おいしいオススメの食べ方を描く。
最近よくある、女子高生と組み合わせてみたってヤツだ。
結論から書いてしまうと、その組み合わせが表面的で全然うまいこと掛け算になってない。
この作品でやりたいことは明確だ。
「女子高生がラーメンを食べる様子を描きたい」「しかも実在の店舗で」である。
分かりやすいのだが、表面的にしか組み合わさってないので、作品的にとても薄っぺらくなってしまってる。
ひとつが、ストーリー性の薄さ。
基本的に、本作は1話完結である。
ただでさえ、ストーリー性を産みにくい構成である。
まぁ、ストーリー 性が今でもまったくないわけじゃない。
なんでストーリー性が薄いのか?これは次に書く理由にも大きく関係してる。
そのふたつめが、キャラクターに対する深掘りと描写の不足だ。
これがこの作品的に深刻だ。
例えば、小泉さんについて考えてみよう。
小泉さんはラーメンが好きという設定で、あらゆるラーメンの知識がすごい。
だが、これが結果としてラーメンだったらなんでもいいというふうに見えてしまう問題がある。
人間、好きなものであればこそ、その中でもこれが好き!というこだわりを持つものである。
ラーメンで言えば〇〇系統が好き、味の好みなどなどだ。
だが、小泉さんにはそれが見えない。
強いていうなら食べ方くらいである。
そのため、あまりこだわりがなく、逆になんでもいいんじゃないの?と思わせてしまっている。
小泉さんに人間味がなく、つまりキャラクターとしての魅力に欠ける。
毎回、あらゆるラーメンに詳しい小泉さんが、そのラーメンを食べたり知識を語ったりする、1話完結で。
その結果どうなるか?作品のマンネリ化だ。
そりゃそーだ、ストーリー性もキャラクター性もないんだから。
そんなのをアニメでやる意味はあまりない、と言わざるをえない。
だからこそ、表面的にしか組み合わせられてないのだし、だったら実写でやった方がよくね?と最初に書いたのである。
これを例えば、小泉さんが特定のラーメンのジャンルが好き、特定のジャンルはあまり詳しくない…という設定にして、逆にその設定にやたら詳しいキャラとかを出す。
そして、そのキャラと味の好みでぶつかる…といった書き方にしたほうがストーリーのおもしろみが増すし、キャラクターにも人間らしさが出てくるのではないだろうか?
ちなみに、ラーメン店や商品は実在するものばかりなので、実際食べに行きたくなる。
…が、それをアニメでやる意味とは?オタクに売り込みたいだけか?
まぁそれはそれでアリか。
演出
演出はさすがに手が込んでる。
女子高生の可愛さ、そしてラーメンが美味しそうに見える。
特にラーメンは見てるだけで食べたくなってくる。
作品的にこの2つがやりたいことであるのは明確なので、こう思わせることができたら作品的には成功なのだろう。
ただ、ツッコミどころもある。
ここでもやはり、小泉さんのキャラクター性の矛盾だ。
ラーメンを食べるのに白い服を着たまま、エプロンなしで食べるシーンが多いのが腑に落ちない。
ラーメンを他のことを気にせず100%味わいたいのならば、黒い服を選ぶか、あるいはエプロンをつけるという行動をするのではないか?
もしエプロンが用意されていない店に備えて、マイエプロンを持ち歩くくらいの描写があってもいいと思った。
小泉さんは髪型や服装に気を遣っているなど、妙にビジュアルを意識しているように見える。
だからこそ、そう言った気遣いがないのは不思議だ。
ふたつめが、近所を歩くときには休みでも制服、地元以外では私服…といった矛盾も気になる。
ラーメン以外に無関心なのか、ビジュアルに無頓着なのかさっぱり読み取れない。
例えば、小泉さん本人がビジュアルに無頓着だと設定し、小泉さんを着飾ることが好きな姉妹なんかをキャラに出してもいいと思う。
それがキャラクター描写と深堀りというものである。
音楽
OPとEDはなかなか軽快でいい。
OPはOPで曲自体のクオリティが高いし、映像の切り替えもテンポよく、かなり情報過多な感じが逆に何度見ても飽きない。
EDは歴代のラーメンのCMを順に再現し、テレビ→スマートフォンへの時代の流れが表現できてて、これはこれでよい。
本編の内容がともなってれば、もう文句の付けようがなかったろうに。
個人的に刺さったシーン
ひとつが、家系ラーメンの回。
個人的に好きなラーメンのジャンルが家系だから、というのもある。
小泉さんがどんな食べ方をするのか?というのが楽しめたので。
…おおむね予想通りだったけど。
もうひとつが、おいしいラーメンの回。
知らない視聴者からすると、兄である大澤修の返事がまさか正しかったとは思わないだろう。
もちろん、わたしもそのひとりだった。
まとめ
ラーメン+女子高生をやりたかっただけ、というのが如実に伝わってくる作品。
キャラを描きたいのなら、ちゃんとキャラの深堀をしないと全然おもしろみがないじゃないか。
キャラの描き方、そしてストーリーの作り方をもう少し見直した方がいい。