概要
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機動戦艦ナデシコ
※TVシリーズ、劇場版共通
佐藤竜雄監督のオリジナルSFロボットアニメ。
SFものでありながら、ラブコメ要素がストーリーの主軸にあること、細部のデザインが和風テイストであることが特徴。
なお、このレビューではTVシリーズのみを対象とする。
人に勧められるか?
★★★★☆ (5点中4点)
枠にとらわれないSFロボットアニメ。
個人的には今見てもおもしろい内容であるし、5点付けたいほど。
戦いに巻き込まれていく中での主人公・テンカワアキトの成長。
その周囲でのラブコメストーリー。
単純な勧善懲悪ではなく、敵には敵の正義があり、戦いに参加した人の数だけそれぞれの正義が存在すること。
そして、その戦いの中でナデシコクルーが守りたかったもの。
とにかくいろんな要素が埋め込まれていて、飽きさせない。
しかし、かなり多くの伏線が未回収のままになっているので、作品内ですべて説明して欲しいと考える人には向かない。
もちろん、それがなくとも十分すぎるほどおもしろいことは保証できる。
ストーリー
今回からあらすじは省きます。
Wikipedia等でそれぞれ確認してください。
本作の主軸は、木星蜥蜴と地球の戦争だが、テンカワアキトたちナデシコクルーがその戦闘に参加するようになるのは中盤以降である。
そういうこともあって、作品自体のテーマは戦争ものではなく、それに参加する人やその周囲の人たちの人間ドラマである。
特に目立つのはやはりラブコメ要素だが、それ以外にも「正義とは何か?」「戦争を終わらせるためにはどうするか?」「そして自分たちの守りたいものは何か?」といった内容が描かれ、それがとてもおもしろい。
最後に描かれる結末は、人間味溢れるとてもナデシコクルーらしい終わり方になっている。
ストーリー自体もおもしろいが、個性があふれすぎるキャラクターも、とても魅力的だ。
その様子は戦艦というより、共同の学生寮のような雰囲気すらある。
っていうか、大人があんまり大人らしくない 笑
唯一残念なのは、根っこになる伏線の多くが未回収、説明がされないまま終わってしまうことである。
あれはどうなっているんだ?と気になる部分がとにかく多いのにも関わらず、だ。
とはいえ、それを差し引いても十分なほどにおもしろいのだが。
演出
ひとつは、SFものにしては珍しい、和風テイストが多彩なのがポイント。
システムの画面表示も漢字を使っているし、戦艦の内装も和の畳や障子を多彩に使っている。
制作側の好みなのかは分からないが、とてもナデシコらしい部分だ。
ふたつめは、細部へのこだわりの深さである。
よく取り上げられるのが、劇中のアニメ「ゲキガンガー3」だ。
作画やアニメの雰囲気が、まさに「ゲッ○ーロボ」ままっぽい。
なお、個人的に取り上げたいのは、状況説明に超概略図でイラストを使ってることである。
おかげで説明や動画だけでは分かりづらい戦いの状況が、見てる側にとても分かりやすく伝わってくる。
見る側に対してもとても親切な描写だと思う。
これもまた、他のSFアニメではなかなか見れない、ナデシコらしい部分である。
音楽
OPもEDも、この時代を感じさせるポップなアニソン。
なお、EDは本来のヒロインであるミスマル・ユリカが前面に押し出されている。
ホシノ・ルリの方が人気が出るとは、制作側も予想外だったのだろう。。。
個人的に刺さったシーン
何話かは忘れてしまったが、テンカワ・アキトのセリフ「これはもう僕たちの戦争なんだ!」である。
当初はアキトたちにとっては、あくまで木星蜥蜴と地球側の戦いであり、どこか他人事であった。
アキトたちナデシコクルーにとっては、その戦争に加担していたに過ぎなかったのだ。
だが、大切な人やいろんなものを失い、様々な出来事に巡り合わせ続けてしまった結果、もはや他人事の戦争ではなくなってしまった。
そのことが明確に語られる印象的なシーンである。
それ以外にも、印象に残るシーンやセリフが多過ぎてもはや選べない。
わたしにとってはそれぐらい、思い入れのある作品でもある。
まとめ
個人的には、食わず嫌いしないで、ぜひ見て欲しい作品である。
単純な戦争もの、ラブコメではなく…いや、そういう部分もおもしろいのだけど、それ以外にも様々なもの、テーマが入り混じった作品である。
確かにもう20年も昔のアニメだが、一度も見たことがないのであれば、ぜひ見てほしい。