【アニメ】「ようこそ実力至上主義の教室へ」レビュー

概要

Webページ:
TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』公式サイト

 

衣笠彰梧氏のライトノベルが原作。

原作は未完。

なんだかんだでイベント等が開催されているので、そのうち2期もやるのかもしれない。

 
 

人に勧められるか?

★★☆☆☆ (5点中2点)

一見、筋が通ってるようで全然筋が通ってない。

 

なんやかんやでストーリー展開は楽しめるのだが、そもそも設定や展開にツッコミどころが多い。

加えて、原作未完で謎のまま明かされないものも多い。

さらに、主人公の行動理念が分からず、なぜクラスメイトを助けたり、クラスを優位に導いたり…もっというと、なぜこの学校に入ったのかさえ不明だ。

とはいえ、ネタばらしのカタルシスの見せ方はうまいので、そこは評価したい。

 
 

ストーリー

卒業できれば将来が約束される、国立の高度育成高等学校に入学した綾小路清隆とDクラスの面々。

入学から1ヶ月がたった5月、毎月振り込まれるはずのポイントが振り込まれず、その原因が自分たちの素行であること、そしてその背景にあるクラスポイントとSシステムの存在を知る。

清隆とDクラスのメンバーは、4クラス中最下位とクラスポイント0の窮地から脱することができるか?

 

本作には大きく分けて3つのパートがある。

ひとつが最初の中間試験、ふたつめが校内暴力事件、みっつめが無人島での特別試験。

結論から書くと、本作の最大の魅力は、それぞれのパートにおける問題に対しての、主人公たちがとる解決策とそれによるカタルシスだ。

特に、3つめの無人島での特別試験のそれがおもしろい。

まぁツッコミどころはあるのだが…。

 

だがしかし、それだけである。

それ以外は気になるところだらけだ。

まずひとつが、謎が謎のまま明かされないことがあまりに多いことだ。

これはまぁ原作未完であるため、仕方がないのかもしれない。

この手のアニメは、原作への誘導が主な目的(ゴール)であるため、その内容をいかにうまく見せられるかの方が大事だ。

 

さて、その内容だが…そもそも、「実力至上主義」とは何か?

一般的に考えれば、「実力」とはその人物が本当に身につけている能力のことである。

ところが、本作における実力とは…学力や身体能力よりも、問題解決力や政治力、戦略や騙し合いといった部分が大きい。

仮にそれらをすべて含めたすべてが実力なのだとしても、クラスという組織に属すると、その能力が養成・発揮されないメンバーが存在する可能性が高くなる。

実在の組織でも、働きアリの法則はまったく珍しいことではない。

本作でも、Dクラス内でまったく出てこないメンバーすら存在する。

存在感がない=劇中で活躍しない=能力が発揮されていない、ということだ。

つまり、そもそもの舞台のシステムからして欠陥が存在する。

これなら、1学年1クラスにして、クラス内で争わせればよかったのではないだろうか。

バトルロワイアルという偉大な前例もあるのだし。

 

さらにDクラスに、明らかに入学ボーダー未満と思しき不良生徒が何人も存在することが不自然だ。

あえてそういう生徒を学年に含める意図があるのかもしれないが、そんな描写や説明はないし、謎である。

 

一方で、魅力と書いたカタルシスにも気になることはある。

ひとつめの中間試験だが、先輩から過去問を入手することで難局を乗り切り、さらに教師との交渉でもうひとつ乗り切る。

先輩は過去問の受け渡しで「こっちにもリスクが」という話をするが、リスクとはなんだ?

そのあと清隆は、「過去問のやりとりはよくあるやり取りと思われる」と言っているが、矛盾してないか?

その点について説明はない。

 

ふたつめの暴力事件だが、監視カメラがあるあの場で、口頭で「訴えを取り下げる」とは言ったが、それを守るかどうかはCクラスのメンバーしだいのように見える。

なぜ、そのまま職員室まで同行し、取り下げさせなかったのか?

一方で、なぜ連絡先を交換した女子生徒の居場所をすぐに特定できた?

仮に、携帯端末でそれができるのだとしたら、それはそれで問題ではないか?

 

みっつめの無人島特別試験だが、Aクラスのリーダーを断定する材料が弱すぎる。

あの程度でリーダーだとするにはちょっと無理がないか。

一方で、葛城は慎重な男と言われているが、疑問を感じる点がふたつある。

ひとつは、洞窟の外でのカモフラージュの場で、リーダーでもなんでもないクラスメンバーを横にすえるべきでなかったか。

もうひとつは、Cクラスとの取引の文面で、「互いのクラスのリーダーを的中させないこと」と明文化していないことである。

Cクラスのリーダーは明らかに龍園である。

それでも、慎重なのか葛城はCクラスのリーダー当てを皮算用に入れていなかった。

当てる気がないのであれば、上記を明文化しないメリットはないし、逆にCクラスにリーダーを当てられる余地を残してしまった。

葛城は慎重な男なのではなかったのか?

 

といったように、魅力であるはずのカタルシスにも穴が多いので、気になると疑問が拭えない。

 

ここまででも相当なものだが、さらに主人公のキャラクター性にも疑問符がつく。

なぜ、主人公はクラスの中で政治力(友達)を得ようとしたか?

なぜ、主人公はクラスのメリットになるように行動してるか?

それらは一切描写されない。

やれやれ系の主人公の性格と行動理念が見え隠れするが、それであれば自発的に行動するのは不自然である。

そんな性格でも自発的に行動せざるを得ない事情がまったく見えてこないのである。

さらにいうと、こんな性格の主人公がこの学校に入学した理由さえも分からない。

何か目的があるのであればそれを見せるべきだが、そんな描写はまったくない。

加えて、ラストの「俺は堀北を含めてクラスの誰も仲間と思ってない。最後に俺だけが勝っていればいい。」

それが目的だとしても、そんな描写あったか?って。

それ以外にも、主人公の行動に一貫性がなさすぎる。

それが現実の人間であればまだ納得できるが、これはフィクションである。

行動に一貫性がなければ、キャラクターがブレブレになっしまう。

その場ごとのつなぎ合わせの結果があの主人公になってしっまってる。

 

というわけで、魅力に対してあまりにも気になるところが多すぎるので、トータルではマイナスである。

まぁ初見で何も考えずに見てたら、それなりにおもしろく見えるかもね。。。

書き忘れたが、これだけの内容をファンタジックな内容や設定をなしに書いてるのは評価したいかも。

主人公もちょっと頭が切れるのと身体能力は高いが、特殊な能力があるわけではないのだ。

 
 

演出

基本、会話劇が中心で派手な演出はない。

まぁ演出らしい演出といえば、クラスメイトの説明に全画面に渡ってその内容を記述するのと、最後の無人島のクラスポイントの説明を同じく全画面で記述してることくらいか。

このアニメらしいし、手間を省きそして分かりやすいという意味で理にかなってると感じた。

 
 

音楽

音楽に入れていいのか悩むが、EDで各キャラのプライベートポイントが表示されているのがおもしろい。

加えて、各クラスの現在のポイントがキャラクターの持つ端末に表示されるのも同じく。

アニメの内容らしい表現だ。

 
 

個人的に刺さったシーン

最終話、龍園が勝ち誇った顔で待ってるのと、Cクラスの結果が明かされた時だろうか。

Aクラス他にあれだけ「おもしろいものが見れるぜ」とか言っておきながらそれかよ、という感じで笑えた。

 
 

まとめ

そもそもの原作ラノベ批判になってる感も否めないが(原作を読んでないのでその点は申し訳ないと思いつつ)、ともあれできたアニメがアレでツッコミどころが目立つので、感想としてはちゃんと書くべきかな、と。

2期が出てきたら見たいとは思う。

まぁそもそもの舞台設定に欠陥があるので、劇的に評価を覆してくれるとは期待できないが。。。

もちろん、わたしは原作を読みたいとは少しも思わなかった。

劇中で明かされなかった謎が気になるので、それを知れれば別にどうでも。

 
 

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