概要
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TVアニメ『Another』2012年1月9日よりTV放送開始予定!
綾辻行人氏の小説が原作。
当時は実写映画が制作されるなど、話題性があった作品。
本作内で用いられることはないが、「Anotherなら死んでた」はある意味、端的に本作を表している。
人に勧められるか?
★★★☆☆ (5点中3点)
叙述トリックを映像化するというチャレンジング。
叙述トリックを完全に映像で表現するのは、やはり難易度が高かったか。
それでも、かなり納得感の高い表現ではないだろうか。
トリックの内容に納得できるかどうか、は人それぞれではあるので、見た結果は保証できないが。
あとはまぁバカスカ人が死ぬ話なので、そういう表現をどう思うか…ではないだろうか。
あと、やはり見崎 鳴の行動の不可解さが気になるかどうか。
とはいえ、それを踏まえても、個人的にはかなりおもしろかったが。
ストーリー
夜見山北中学校に転入した榊原 恒一は、クラス内で独特な存在感を放つ見崎 鳴のことが気になる。
同じクラスの3年3組の面々は、一様に彼女に関わらないように、「いないもの」として扱っていた。
そしてそのうち、徐々に3年3組にまつわる、ある現象のことが明らかになる…。
本作の原作小説は、叙述トリックのミステリー小説である。
それを映像化しようという時点で、まぁなかなか難易度の高いことに挑戦するなぁという印象である。
結論から言ってしまえば、可能な限りトリックを仕込んでいることが分かるし、実際に納得感があるシナリオではあるので、個人的にはかなり好みだ。
トリックの内容や結果については、ぜひ本編で確かめて欲しい。
ひとつ気になるといえば、見崎 鳴の行動である。
見崎 鳴には、最初からもうひとりが誰だか知ることができたし、災厄を止める方法が分かっていたはずだ。
物語的にそれではつまらなくなるというのはその通り。
だが、殺人事件で例えるなら、犯人が誰だか分かる手段を持っていて、それでいて犯人も分かっていたのに、何もしなかったことになる。
いくら、自分が死ぬ可能性がない(それについては理由は語られない)とはいえ、不可解ではないか。
まぁ、終盤のあのような展開のような大きなショックがなければ、行動に移せなかった…という、中学生の未熟さと言われれば、しかたないのかもしれないが。
ちなみにぶっちゃけてしまうと、実はアニメを見るより先に小説を読んでしまったので、アニメ視聴時点でネタバレを知っていた。
そういう意味では、本当の意味での評価ではないのかもしれないが。。。
演出
本作での演出のキモは、やはりトリックに関連する部分だろう。
架空の声優をでっち上げてまでトリックを仕込むのは…まぁ考えてみれば当たり前だと思うものの、そこまでやるかという印象である。
一方で、ミステリらしい演出…BGMと効果音があるタイミングで大きくなるなど、細かな描写はさすがという感じ。
いい感じに恐怖感が高まる。
一方で、演出とは少し違うが、見崎 鳴と「もうひとり」の声優の演技はさすが、だと感じた。
見崎 鳴の方はいかにも見崎 鳴の声であるし、もうひとりの声優の演じ分けもなかな区別がつかないのだ。
音楽
OPの、アニメの世界観にあったALI PROJECTの曲は、さすがだなという印象。
アニメの世界観を表現したアニメ映像とよくマッチしてる。
一方で、EDの曲と映像はかなり穏やかで、本編とのギャップがいい塩梅だ。
下手にポップなアニソンとかだったらぶち壊しだもんな。
個人的に刺さったシーン
まずひとつが、桜木 ゆかりが死ぬシーンである。
最初の犠牲者でもあるし、死ぬときの「え、死ぬの?」とでもいいたそうな表情がとても「っぽい」し、そしてそのあとの死ぬ描写もかなり残虐である。
そういうわけで、かなり視聴者に鮮烈な印象を与えるシーンである。
ふたつめが、赤沢 泉美が死ぬシーンである。
なんだか死ぬシーンばかりの気がするが、ただでさえ死ぬシーンが多いのでしかたない。
この赤沢さんが死ぬシーンが、これまた印象的なのである。
残虐という意味ではなく、美しいという意味で。
同じ死なのに、どうしてこんなに違うのだろう。
まとめ
というわけで、普段ミステリを読まない自分だが、(すでにトリックの内容を知っていたとしても)ミステリとして十分に楽しめた。
ミステリファンからすれば、もう少し違った評価になるかもしれない。
とはいえ、ミステリアニメとして十分に楽しめる内容であることは違いない。
気になったのであれば、見てみて後悔はないはずだ。