概要
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TVアニメ『盾の勇者の成り上がり』
アネコユサギ氏の小説が原作のアニメ。
いわゆる、なろう系小説であり、異世界転移もの(転生ではない)。
人気作のようで、アニメ2期と3期の制作が決定している。
人に勧められるか?
★★★★☆ (5点中4点)
俺TUEEEのようで、そうではない。気になるところはあるが、基本のストーリーがおもしろいので楽しめる。
ツッコミどころというか、見ていて気になるところはあるのだが、ストーリーがちゃんとおもしろい内容なので、見ていて飽きない。
ストーリー展開が主人公の人格形成にきちんと影響を与えていること、ちゃんとキャラクター描写がされていることがポイントか。
主人公の能力に制限があるのも、戦いが単調にならないのでいい。
ストーリー
盾の勇者として転移した岩谷 尚文が、策略によって地位も名誉も失ったところから、盾の勇者として活躍していく。
平たく言ってストーリーがおもしろいのだが、おもしろさのポイントは2つある。
ひとつが、主人公の能力に制限があることである。
尚文は盾持ちであるため、防御は鉄壁に近いレベルである。
がしかし、攻撃についてはかなりアンバランスだ。
通常攻撃は一切できないのに、自分を犠牲にしたカースシリーズを使うことでキメ技レベルのものを使える。
しかも、カースシリーズは平常心を保てない、場合によっては寝込むなど、かなりの代償がある。
通常時の基本的な戦闘は、すべてラフタリアとフィーロ、メルティがこなすしかない。
能力的にチームワークを必要とする。
これだけでおもしろくなりそうな要素である。
もうひとつが、キャラクターの心理描写がしっかりできていることだ。
転移したばかりの尚文は、無害な青年らしい雰囲気である。
だが、策略に巻き込まれたことで、かなり刺々しい雰囲気を持つようになる。
だがしかし、根ざした人の良さはあるので、なんというかダークヒーローのような存在である。
ちゃんと主人公らしく魅力があるのだ。
加えて、そんな尚文だから、普通の人間は仲間にできない。
だからこそ、奴隷のラフタリアや魔獣のフィーロを仲間にするしかないという状況を生む。
そのため、より強く仲間としての絆を感じる。
特に、尚文とラフタリアは、単なる主人と奴隷の関係にとどまらない特別な関係性を描いているのだ。
ラフタリアに押し切られてるシーンもいくつかあるしね。
なお、尚文が人間以外を仲間にするしかない状況にするよう、うまく設定を活かせているのも好ポイント。
無意味に奴隷を使ったりする、異世界ものも多いからね。
ただし、逆にストーリーのツッコミどころもいくつかある。
ひとつが、なぜメルロマルクという国や国王があんなにまで盾の勇者を憎んでいるのか?また、であればなぜ盾の勇者を召喚したのか?である。
ストーリー展開上、尚文が憎まれるのは理解できるが、盾の勇者の存在そのものが憎まれるのは、説明不足感が強い。
次が、ラフタリアの急成長についてだ。
亜人は幼い時にレベルを上げると、あわせて肉体が急成長する…という設定である。
だが、それはあくまで肉体だけの話だ。
ラフタリアを見ていると、肉体だけでなく精神も大人びているように見える。
肉体と精神はあくまで別であるはずなので、この説明では納得感が低い。
3つめが、尚文以外の勇者の存在についてである。
ぶっちゃけ、他の3勇者のやられ役感というか、脇役感が強すぎる。
せっかく勇者として出しているのだから、もう少し魅力的に描いてもよかったのではないだろうか…。
勇者というには3人ともあまりにアレすぎる。
特に槍の勇者は問題外すぎて。
誰か1人だけでも立ち位置を変えてたらおもしろかったかもしれないのになぁ、と。
とまぁいろいろ気になるところはあるのだが、それを差し置いてもストーリーはおもしろい。
細かいところを気にしないのであれば、素直にオススメできるとは思う。
演出
ポイントは2つ。
ひとつは、尚文の使うスキルの特殊性である。
盾主体という、なかなかないタイプの主人公なので、使う能力もその描写もかなり特殊。
そしてちゃんとカッコいいのもいい。
シールドプリズンとか、なかなか見ないよね。
もうひとつが、ラフタリアのかわいさ。
急成長は腑に落ちないのだが、確かに尚文に尽くすラフタリアはとても可愛らしい。
表情と感情豊かなのも魅力的だ。
奴隷になりたての頃はまったくそんなことがなかったので、その対比にもなっているのだろう。
音楽
個人的には、前期・後期EDが魅力的。
前期は尚文の想い、後期はラフタリアの想いを描いているように見受けられる。
キャラクターの心理を反映した曲というのは、とてもアニソンらしくていい。
個人的に刺さったシーン
第3話、ラフタリアが急成長した姿がいきなり出てきたところ。
あれ、ラフタリアってこんなに可愛いの??と驚いたので。
武器屋の主人相手に表情豊かに会話してる描写がいい。
第4話、決闘後にラフタリアが尚文を抱擁するシーン。
尚文とラフタリアの絆を強く感じられる描写がある。
尚文がどう思ってるかはさておき、2人はとても魅力的なパートナーなのだ。
第19話、4人の勇者がはじめて連携する戦うシーン。
3勇者や、なにより槍の勇者が「お前がそれ言う!?」っていうセリフを連発しまくるので、とにかく笑いまくった回だった。
ラフタリアたちのジト目もまた、笑いを誘う。
まとめ
というわけで、とってもおもしろいのは確かなんだけども、いろいろと惜しい作品。
ストーリーの根幹に関わる部分のツッコミどころを直し、他の3勇者をせめてもう少し魅力的に描いていれば、もっとおもしろい内容になっただろうに。。。
まぁ3勇者に関しては、それも含めて「盾の勇者の成り上がり」らしさなのかもしれない。