【映画】「機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-」レビュー

概要

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機動戦艦ナデシコ
※TVシリーズ、劇場版共通

 

佐藤竜雄監督のオリジナルSFロボットアニメ、その劇場版。

TVシリーズの3年後を描く。

なお、このレビューでは劇場版のみを対象とする。

 
 

人に勧められるか?

★★★★☆ (5点中4点)

機動戦艦ナデシコファンのための総決算。

 

TVシリーズとは打って変わって、全編にわたりシリアスな雰囲気でストーリーが進む。

しかし、キャラクターのやりとり、和風テイスト、細かな部分にまでこだわってる描写…と、相変わらずのナデシコらしさがちゃんとある。

ただし、やはりTVシリーズの視聴と、間の3年間の出来事を大まかに把握してないと理解が追いつかないという難点がある。

その代わりというか、その辺りまで知っているとかなり楽しめる内容…つまり、ナデシコファンにとっては大満足の内容であることは保証する。

 
 

ストーリー

本作では、TVシリーズの戦争が終わってひと段落し、落ち着いて次の世代に進む過程の世界観が描かれる。

地球と木星のいざこざは一旦解決したが、それでも完全にはわだかまりが溶けていないことが分かる。

そんな中で起こる、火星の後継者のクーデター。

首謀者の草壁春樹は、地球側のヒサゴプランの乗っ取りを画策するわけだが…。

 

この火星の後継者(草壁春樹)は、完全に悪とも言い切れない存在として描かれる。

やっていることは、A級ジャンパーの拉致をはじめとして、明らかに悪である。

だが、真の目的はボソンジャンプの危険性を示すこと。

あえて悪になることで、それを証明しているわけだ。

これこそ、まさに確信犯(誤用じゃないほう)である。

単純にどちらが悪とも言い切れない対立構造が、またナデシコらしい。

 

それ以外にも、いろんな人間ドラマが描かれ、キャラクターが際立っているのも同じく。

その中でもやはり注目したいのは、アキトと北辰の対決だろう。

因縁の対決としてこれまで何度も戦ってきたことが分かるが、その行方はやはり熱い。

本編内で「同窓会みたいなもの」と語られているが、この映画はまさにそんな内容で、「TVシリーズのあの後、あの世界はどうなっていくの?」というファンの疑問に、しっかり応える内容になっている。

なお、個人的には劇場版のルリが好きで、TVシリーズから着実に成長しているのが描かれており、かなり好きだ。

 
 

演出

その火星の後継者との戦いの中で、これまでのナデシコらしく細かに描写される。

例えば、劇中で少女マンガが出てくるシーンがあるが、ちゃんとマンガ家が描いているマンガである。

あまりにそういった要素が多いので、とても80分の映画とは思えないほど内容が濃い。

そのせいかあっという間に終わる印象で、もっと長くてもよかったのでは?とさえ感じる。

加えて、一度ではほぼ確実に見逃していたり、あるいは伏線が隠れていたりするので、複数回見ても楽しめる。

 
 

音楽

メインテーマはTVシリーズのOPを歌っている松澤由美さん。

総決算らしい起用だ。

なお、個人的には印象的な劇伴が多いことを書きたい。

以前も書いたが、劇伴を聴いて映画のシーンが思い浮かぶのは、劇伴が強力で優秀な証である。

本作もその例に漏れない。

 
 

個人的に刺さったシーン

やはり最も印象的なのは、アキトと北辰の決着がつくシーン。

執念の結果のシーンでもあるので、ファンとしては感慨深い。

その次が、墓場でのルリとアキトの会話シーンである。

変わってしまったアキトだが、本編で唯一TVシリーズの頃の雰囲気を取り戻すシーンだ。

親愛を持っていたアキトに対して、ルリの想いが汲み取れるシーンでもあり、ファンとしては印象に残る。

 
 

まとめ

TVシリーズを見たのであれば、これを見ないのは損してるとしか言いようがない。

TVシリーズを踏まえて、そのあとのナデシコクルーとあの世界はどう変わっていくのか?

それがファン向けに、かなり楽しめるように描かれている。

ぜひ、TVシリーズとセットで見て欲しい内容だ。

 
 

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