概要
Webページ:
TVアニメ「Charlotte(シャーロット)」公式サイト
「Angel Beats!」で原作、脚本と劇中の音楽を担当した麻枝准氏の、次作が本作である。
相変わらずの麻枝節である。
人に勧められるか?
★★★☆☆ (5点中3点)
いつもの麻枝節。「Angel Beats!」よりは勧めやすいが…。
相変わらずの麻枝節…細かなところで気になるところやツッコミどころがある。
そこに目を瞑れば、十分に楽しめるのが本作である。
「Angel Beats!」の時にも書いたかもしれないが、細かいところは気にせず、ありのままを楽しむことができれば、本作はおもしろい。
ストーリー
乙坂 有宇は、5秒間だけ他人に乗り移ることができる超能力者。
その能力を使って、カンニングしまくり、難関高校に入学。
元の顔の良さもあって、学校内での高い地位を確立していった。
ところがある日、友利 奈緒に超能力を使ったイカサマであることがバレてしまい、星ノ海学園に転校し、生徒会に入ることを強要されてしまう。
星ノ海学園生徒会は、世間に散らばる超能力者を見つけては、その能力を悪用しないよう喧伝して回っているのだった。
ストーリーとしては、とても分かりやすい有宇の成長物語である。
もはやクズとしか言いようがなかった有宇だが、奈緒をはじめとした生徒会メンバーとの交流、妹がからむエピソード、超能力者たちとの協力関係を築くといった過程で、有宇は人間的に成長するのだ。
だが、気になるところはいくつもある。
ひとつ、あの結末で有宇は成長できたと本当に言えるだろうか?
確かに、終盤までは有宇は成長し、様々な人間的成長をしている。
だが結果として、成長によって得たものをすべて無くしてしまってないだろうか。
それは果たして、本当に成長物語と言えるのか?
結末はどうにも腑に落ちない。
ふたつ、奈緒の扱いである。
中盤で、校内の生徒に暴力を振るわれるシーンが存在するが、あれは必要だっただろうか?
理由付けとして、奈緒の鉄拳制裁が挙げられている…が、仮にも生徒会長である。
あんなに分かりやすいイジメをされるのは不自然ではないか。
また、行為として鉄拳制裁の暴力は間違ってはいるが、その信念は正しいものである。
それはちゃんと奈緒の行動を見ていれば分かることだ。
であれば、正しさを主張できる周囲の生徒がいれば、そんなイジメ行為は止めないだろうか。
きちんと正しい信念に基づいていれば、多少間違った行動をしていても、許容されるのが世の常である。
あるいは、関わり合いになりたくないので、無関心を装っている…というのが正しいのか。
だが、そんな説明や言動はされない。
どうにも違和感が残るシーンである。
まぁ確かに、鉄拳制裁を実際やられた当事者だったり、西森 柚咲の転校時のような素っ気ない態度をされては、かなりイラッとしそうではあるが…。
…といったように、細かな気になるところをあげるとキリがない。
その原因は麻枝節のシナリオ起因だ。
身も蓋もない言い方をすれば、その場その場の描写に重きをおきすぎて、キャラ設定や一般的な感性やストーリーの流れについて、深く考えられていないのである。
そういった麻枝節の悪しき面に目をつぶれば…まぁ楽しいし感動できるアニメである。
決して嫌いではない。
だが…個人的には安っぽく見えてしまうのは否定できない。
演出
ギャグを活かした効果音や画面の切り替えといった演出は、かなりうまいと思う。
「Angel Beats!」でも見られた特徴だが、本作でも引き続き活かされている。
音楽
なによりOPとEDが素晴らしい。
曲自体も素晴らしいのだが、映像がまた力が入ってていい。
特に、OPは劇中の内容と歌詞がリンクしており、アニソンらしくて、これまたいい。
どうやら製作陣的には劇中歌にも力を入れたいらしく、ハロハロことHow-Low-Helloと、ZHIENDの曲は、かなり尺をとって曲が流れる。
加えて、ZHIENDの曲は劇中でかなり重要なキーアイテムとして登場するため、扱いもいい。
…が、「Angel Beats!」のガルデモと比べると、今ひとつ刺さらなかったなぁ…というのが個人的な感想だ。
個人的に刺さったシーン
有宇が世界中に旅立つ直前の、奈緒との会話シーンである。
今作で、有宇の成長が最も感じられるシーンでもある。
第一話時点での有宇であれば、あんな決断やセリフをいうとは考えられない。
本作で、有宇が様々な人との交流や経験を通して、あの境地に達したのだと思うと、やはり感慨深いものがある。
まとめ
本筋のストーリーはちゃんと筋が通っているので、分かりやすいし、十分におもしろい。
だが、やはり細かな部分で気になるところが、少なからずあることだ。
それはちょっと都合がよすぎるんじゃないか?とか、なぜそうしたorそうなったのか、腑に落ちない部分がある。
そういった面に目をつぶれるかどうかが、本作の評価を分ける。
理屈で考えてしまうようなタイプの人には合わないと考える。
まぁ、それは「Angel Beats!」をはじめとした、麻枝作品の特徴でもあるのだけど。