概要
Webページ:
TVアニメ「転生したらスライムだった件」公式サイト
伏瀬氏の小説が原作のアニメ。
「小説になろう」に掲載されていた、いわゆる「なろう系小説」である。
人に勧められるか?
今回からフォーマットを少し変えて、まず勧められるかどうか?から書くことにする。
何事も結論から話すのがいいのではないか?という考えによる。
もしかしたら戻すかもしれない。
★★☆☆☆ (5点中2点)
タイトルが出落ちで終わるようなストーリーにしちゃいけない。
おもしろいとは思うが、「転生したらスライムだった」というストーリーがタイトルのイメージ通りに進むのは最初だけだ。
すぐに大量のスキルが付いて、スライムらしさはビジュアルだけになる。
そのビジュアルですら、途中でスライムらしさはなくなってしまう。
残るのは擬態と捕食のスキルが使える、ということのみだ。
「転生したらスライムだった」をタイトルにするのなら、もう少しスライムらしさを活かしたストーリー構成を期待したい。
「魔法科高校の劣等生」もそうだが、タイトルのステータスを最初期の印象操作だけに使い、ストーリーが進むにつれ、そういうステータスがあったことすら忘れかけるようなストーリー作りは止めるべきだ。
個人的に、どうにも安直っぽさを感じてしまい、腑に落ちないのである。
まぁ、それが最近のいわゆるなろう系のコンセプトであるというのも確かなので、そこはもう好みの問題なのかもしれない。
ストーリー
ゼネコンに務めるサラリーマン出会った三上悟は、ある日通り魔に刺されて、異世界に転生してしまう。
転生した悟は、何とスライムになっていたのだ。
スライムの「捕食者」と「擬態」のスキルを使い、次々に強力なスキルを獲得した悟は、洞窟の最深部で暴風龍ヴェルドラと出会う。
この出会いから、この異世界での、三上悟ことリムル=テンペストの物語が始まる。
先にも書いた通り、ストーリーはとても分かりやすく、そしてそれなりにはおもしろい。
なぜスライムとして転生したか?はさておき。
スキルを獲得していくプロセス、なぜそういう選択をしたのか?何を目的に活動していくのか?がちゃんと説明されてる。
一方で腑に落ちないことが2つある。
ひとつは、平たく言えばスライムのくせに強すぎることである。
転生したらスライムだった、というタイトルは、「本来であれば、主人公何だからもっと強い何かになっていたのに、なぜか最弱のスライムだった」という暗喩である。
ところがこのスライム、まったく弱くない。
捕食者と擬態は十分強力だし、実際に序盤の時点で十分すぎるほどに強力になってる。
つまり、上記の暗喩は出オチに過ぎないのだ。
これが「魔法科高校の劣等生」は、なぜ劣等生であるのかちゃんと説明されてたし、後半になってもそういう劣等生の部分がたびたび描写された。
つまり、設定でそれを補完していたのだ。
が、本作はスライム=最弱であるというのは、他のキャラからの会話からでしか登場しなくなる。
それでは強引さがすぎるというものだ。
もうひとつが、OPに登場する敵キャラらしきものたちである。
前期OPに登場する彼らであるが、後期になってもまったく登場しない。
最後の最後にオマケで登場する程度である。
アニメのOPとして考えた場合に、これはいただけない。
演出
演出面でいえば、本作の魅力はリムルの使う魔法と、鬼人たちが使う派手な魔法である。
リムルの使う魔法は多彩で、見ていて楽しいのである。
一方で、鬼人たちが使う魔法は、バトルアニメにおける武闘派ポジションらしく、これはこれで見ていて楽しい。
音楽
音楽については特にノーコメント。
あんまり印象に残らなかった。
個人的に刺さったシーン
ひとつは、シズさんを捕食者で取り込むシーンである。
物語的にも、リムルにとってシズさんはやはり思うところがあるらしく、重要なシーンである。
またこのシーンのあとで、シズさんの想いを引き継ぎ、それにまつわるエピソードがいくつか登場してくるのだ。
そのため、実際にかなり時間をとって描写される。
まぁシズさん自体、かなり魅力的なキャラである…ということもある。
もうひとつは、リザードマンのガビルが、オークに対抗するための同盟を組むため、ジュラ・テンペスト連邦国を訪れるシーンである。
このガビルがいいキャラをしてるのである。
イラっとする一方で、なぜか憎めない…そんなキャラだ。
ガビルが登場するシーンはどれもなかなか好きだ。
まとめ
以上のことから、概ねおもしろい本作ではあるが、やはり気になるところがいくつかある。
そのため、安易には勧めにくいかなぁ、もっとおもしろいヤツ他にあるしなぁ、というのが率直な感想である。
なろう系小説が好きなら、ある意味そのテンプレ通りなので、ハマるんじゃないかな。
わたしはハマりきれなかった。