【アニメ】「荒野のコトブキ飛行隊」レビュー

概要

公式Webページ:
TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』公式サイト

ガールズ&パンツァー」の水島努監督のアニメ。

レシプロ戦闘機…いわゆる前にプロペラがついた飛行機と、それに乗り傭兵稼業で生きている6人の少女たちが主役。

なお、キャラクターが出てくるシーンの多くはCGで描写されている。

 
 

ストーリー

ストーリーとしては、レシプロ戦闘機に乗って傭兵稼業で日々暮らす少女たちだが、依頼を受け続けるうち、ある野望に少しづつ巻き込まれていく。

進行してくストーリーで、終盤の展開を予感させる要素が少しづつ出てくる。

 

端的に言えば、おおむねおもしろい内容ではあるが、気になることが3点ある。

まずひとつが、最初の世界観の説明である。 

世界のそこが抜けた、というだけでは世界観をイメージさせるにはあやふやすぎる。

後半になって、そこの向こう側…ユーハングからもたらされたもの、もたらされたという事実が物語のキーになるのだが、そんなに重要な要素だと序盤では全く予想できなかった。

ゆえに、後半になるまでこの世界観のイメージ形成がしづらいという問題がある。

 

ふたつめが、イケスカの街並みと、最終話に一機だけ登場したあの機体をどう思うか、である。

イケスカの街の雰囲気とあの機体だけ、このアニメでは異質である。

先に書いた通り、このストーリーの世界観のイメージ形成が後半にならないと固まらないわけであるが、これらは最終話になっていきなり出てくる。

一方で、レシプロ戦闘機がこの飛び交う世界で、文明レベルがどの程度かというのはそれまでのストーリーで十分固まってしまってるわけだが、最終話だけあのようなものを出すのは浮いているとも言えるし、また世界観形成において卑怯だとも言える。

端的にいうと、萎えてしまうには十分な要素なのだ。

ちなみにわたしは「それアリなの…?」と少し萎えた。

 

みっつめが、度々登場するライバル機である。

第一話から登場し、たびたびキリエが執着する機体だが、視聴者にとってはなぜ執着するのか?がまったく見えてこない。

途中でちょこっと理由が語られるが、それを聞いても執着する理由になる程とは思えない。

むしろ、ライバル機のパイロットがキリエに文句を言っていた内容の方が、よっぽど執着する要素がありそうなものだ。

 

これら3つの課題が視聴者の中で消化できるか?が本作の評価を大きく分けると感じた。

簡潔にいうと、伏線はあるのにその見せ方が上手くないのである。

ネット上の評価を見ると、「最初おもしろくないと思ったけど、見直すとおもしろい。スルメアニメだと思う」と言ったものがあった。

そう、伏線はちゃんとあるので、見直すと「あーあの時のアレはこれを表してたのかぁ」が多い。

 

…が、最初見たときはそれが伏線だと気付きにくい。

ともあれ、ストーリー展開としてはかなりおもしろく、画面に集中してみてしまうには十分すぎる内容である。

 
 

演出 

描写の細かさ、音声の迫力はピカイチ。

まず第一話で、キリエが出撃前に機体の調子を確認するシーンがあるのだが、それを見た瞬間に「描写が細かいな!」と感じられる。

フラップの動作etcがそれに当たる。

また、音声もキャラクタの会話と比べて明らかに音圧と音量がデカい。

アニメのはずなのに、ここまでレシプロ戦闘機の感覚を音だけで感じられるとは想像してなかった。

その2つだけでも見る価値は十分にあるかもしれない。

 
 

音楽

OPはかっこいい。

荒野、西部劇、1800年代の開拓時代っぽさを感じるのに、ちゃんとアニソンになってる。

それにしても、ZAQの引き出しの多さには驚かされる。

まだけっこう若いのにね。

 
 

個人的に刺さったシーン

やはり、第一話のキリエの、出撃前の機体の調子を確認するシーンはポイント。

あとは、最終話の空戦シーン…特に建物などの構造物を縫うように飛ぶのは、かなり迫力があって必見。

さすがにレシプロ戦闘機がリアルにあんな風に飛べるとは思えないが…え、飛べないよね?

 
 

人に勧められるか?

★★★★☆ (5点中4点)

十分人に勧められる。

最初に書いた3つの課題が目立たなければ、もっとおもしろいアニメになれただろうに。

名作にはなり損ねてしまった感。

 
 

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